先日、飲食店を経営されている方にお会いしたところ、こんな悩みを抱えていました。
「オープンして数年、そこそこお客さんは来てもらっているけれど、いわゆる常連客がいない。売上も今の状態では正直この先は苦しい。何が悪いのでしょうか?」
食は生きていくために必須のことなので、飲食店は絶対に必要とは言われていますが、お店によって状況は随分異なりますよね。
ご相談をいただいたお店は新規のお客さんは来ているそうなのでそれだけでも素晴しいと思いますが、リピートされない、というのはオーナーにとっては厳しいですよね。
飲食店とひとくくりにまとめていますが、喫茶店・レストラン・居酒屋といったお店の違いだけでなく、対象とするお客さんも大衆向け・高級志向、カップル向け・ファミリー向け・会社帰り向けなど様々です。
そこで今回は飲食店全般で使える、お客さんが賑わい、リピートしてもらう方法についてお伝えしますね。
目次
お客さんが賑わう飲食店:5つ
飲食店でお客さんが賑わうために、どんなお店でも、どんなお客さんを対象としていても絶対に必なことが5つあります。当たり前のことなのですが、日々の忙しさでついつい、ということもあるかもしれません。まずは一度自分のお店を確認しながら呼んでくださいね。
1、お店(店外も)をキレイにしている
飲食店ですから、お店がキレイであるというのは何よりの必須事項です。これが出来なければお客さんが賑わうことはできません。だってせっかく来てくれたお客さんが、あなたのお店について話す時「あの店、味はいいけど汚いのよね」となってしまいますよね。
あなたがお客さんの立場だったらどうでしょうか?キレイにしているお店とそうでないお店があった場合、どちらに行きたくなりますか?
このことをお伝えすると「汚くても繁盛しているお店はある」という意見を述べる方がいます。確かにそういうお店があることは事実です。でもあなたのお店はどうなのでしょうか?繁盛しているお店なのでしょうか?
そうでないのでしたら、今すぐキレイにしてくださいね。
特に常連客が増えない、というのは一度来てくれたお客さんがリピータにならない理由があるのです。キレイにしていない、というのが理由だとしたらもったいないですよね。
華美にしましょう、と言っているわけではありません。お金をかけてください、というわけでもありません。ゴミや埃、チリがないようにしたり、ベタベタ汚れがないようにキレイにすることが大切です。
またお店の外も同じようにキレイにしていることが大切です。入り口付近だけでなく目に留まるようなところまで気にかけていますか?「そんなところ?」でも、お客さんは何気に見ていますよ。
2、接客がしっかりしている
飲食店においては接客も欠かせないところですよね。先ほどのキレイにしている、と同様ですが接客ができていないお店にいく気分にはなりませんよね。
ですが意外と出来ていないお店があります。といっても四六時中出来ていないわけではないのです。お客さんが立て続けに来た、ちょっと忙しくなった、そんな時が一番のポイントです。
でも忙しくて右から左への流れ作業になってしまうと、笑顔を見せるどころか、目が釣りあがっているかもしれません。
お客さんだって混んでいて忙しそうな時に無理をいいたくて言っているわけではないのです。ほんの少しの気遣い「お待たせしてすみません」心からそう思う言葉があれば、理解してくれるのです。
お客さんが入ってきた時には笑顔で「いらっしゃいませ」、帰るときにも笑顔で「ありがとうございました」
決して難しい接客ではありませんよね。
3、美味しい
当然ですが、マズイと思ったお店に次回も行こうとは考えませんよね。
小さなお店の場合、たいていは経営者=料理人であることが多いので外で修行をしていた場合は、マズイ料理を出すことはあまりないと思います。
むしろ料理には自信を持っている方が多いのではないでしょうか?
お客さんが料理を口にした時、思わず顔をほころばせて「おいしい」と言う言葉を聞けるのは飲食店ならではの醍醐味ですよね。
ぜひ今後も美味しいものを提供して欲しいですね。
4、客層がしっかりしている
お店の形態により、ターゲットとしている客層があると思いますが、このお客さん像がハッキリしていないとなかなか常連客にはなりません。
当然ですよね。カップルをターゲットにしたムーディーなお店が赤ちゃんも大歓迎!としたらどうでしょうか?せっかくのいい雰囲気が台無しですよね。赤ちゃん連れの方だって気を使ってしまいます。同じように、大衆的なお店に、フルコースが出てくるようなサービスを求められてトラブルになっても困りますよね。
食べたり飲んだりしている最中にトラブルが発生するお店、なんてイヤですよね。食べる事や一緒に行った人との楽しい会話に集中できませんよね。
そういった意味ではお客さんの層というのはとても大切です。「来ていただけるのはありがたい」と思う気持ちは大切ですので、誰でもいいというのは少し違いますよね。
お客さんのことを考えるのなら、どんなお客さんに来て欲しいのか、どうしたらお客さんが気持ちよくいられるかということを考えることも、同じように大切ですね。
5、空間が快適
立ち飲み店や屋台風をウリとする一部のお店を除くと、隣の人との距離はとても重要です。隣のテーブルとの距離があまりに近くて、話が丸聞こえなんてイヤですよね。
席数はお店の売上を左右しますから、出来るだけ多くしたい気持ちはわかります。ですが無理がすぎると敬遠の元です。
特に昨今は他人との距離をしっかりとっておきたい、という風潮がありますので無理矢理席数を増やすというのは、よく考えてくださいね。
そして空間の快適といえば空調も大切です。
以前、ガラス張りのお洒落なお店に行ったことがあります。建物の造りのせいでしょうか、外気が遮断できずものすごく寒かった経験をしたことがあります。
真冬だったのですがどうにも寒くてガマン出来ず、周囲では一旦預けたコートをまた戻してもらって、コートを羽織ながら食事をしている人が多数いました。当然ですがそのお店の2度目の訪問はありません。
建物の構造などはすぐに変えられるものではありませんし、空調があまり効かないお店もあるでしょう。そういったお店でも、暑ければ冷気を循環できるようなサーキュレーターを置いたり、寒ければブランケットなどを用意することで、少しでも対処することはできますよね。
せっかくのあなたのお店ですから、空間を大切にすることも、お客さんが賑わう理由の1つです。
お客さんが賑わうお店の条件、以上5つ。あなたのお店ではいかがだったでしょうか?
どれもそれほど特別なことではありませんよね。ぜひ一度、1つ1つをしっかりチェックしてみてくださいね。
常連客(リピータ)を生むしくみ
新規のお客さんが来てくれたら、また次に来てくれるような仕組みが必要です。上にあげた賑わうお店は日常のこととして必須の事項ですが、それが出来ているからといってお客さんが次回、来てくれるとは限りません。
飲食店はたくさんあります。次々に新しいお店がオープンしていきます。すると次回、あなたのお店に行く理由がないのです。
次回来店を促す仕組み
例えば居酒屋だとしましょう。仕事帰りに仲間と「ちょっと飲んでいこう」となった時は「いつものお店に行こう」もしくは「新しいお店が出来たから行ってみよう」どちらかである可能性が大きいのです。
なぜなら人は目新しいものを求めると同時に、いつもの行動というものにも安心を覚えるからです。
つまり、先日行ったお店が普通の居酒屋なら新しいお店はたくさんあるから、目新しさを求めて新しい居酒屋へ。そうでなければいつものお店が心地いいのです。
では次回、来店してもらうためには具体的にはどのような仕組みを作ればよいのでしょうか?
それは初めて来たお客さんが「次回も来ないと損だ」思うような仕組みです。
飲食店ですとよく「次回ドリンク1杯無料」というチケットを渡すお店がありますよね。あれはどうでしょうか?お客さんになったつもりで考えてみてください。
ドリンク1杯無料券をもらって、次回行かなくちゃ損だ!という気分になりますか?ドリンク無料券は嬉しいけれど、次回行かなくちゃ損という気分にはなりませんよね?
お客さんが次回来店して、ドリンク無料券を使ってくれたとしても、それはたまたま持っていたからで来店する上での絶対的な理由にはならないのです。
でも、もしこのドリンク無料券が「ドン・ペリのシャンパン1杯無料」だったならばどうでしょうか?確実に「行かなくちゃ損」という気分になりますよね。このような気分にさせるしくみを作ることが大切なのです。
居酒屋でドン・ペリのシャンパンはかなり極端な例です。現実にはよほどのお店でないと難しいでしょう。
しかし、お店側はお客さんが無料分だけでなく他の飲み物や料理をオーダーすることで売上としてはあがりますよね?つまり、ドン・ペリは2回目の来店を促すための広告費と考えることが必要なのです。
だとすると、単純にドリンク無料券ではなく別のものが考えられますよね?
喫茶店なら売り切れ続出の手作りケーキでもいいですし、レストランや居酒屋なら目玉商品や季節限定商品、超人気商品を用意するのです。
あなたのお店で「行かなくちゃ損」と思わせるプレゼントが見当たらないならば、作ればいいのです。メインデッシュ1品無料なんていうのでしたら、特別に何もしなくてもいいですよね。
あなたのお店で「行かなくちゃ損」はどんな商品になりますか?
それを初めてきたお客さんに提示してみてください。
3回目の来店を促す仕組み
初めて来たお客さんが「行かなくちゃ損」の仕組みで、2度目の来店をしてくれました。嬉しいですね。
2度目に来た、ということはお店の名前や場所を少し覚えてくれたことになります。この覚えてくれたという事が飲食店ではとても大切なことです。
というのも、何度もお伝えしているように他にもお店はたくさんあります。そしてお客さんは他のお店にも行っているのです。するとお店の記憶はどんどん薄れて曖昧になっていくのです。
「例えば東京駅すぐの○○○というお店で友人のA子とB子と焼肉を食べた。B子の仕事の話がメインで楽しかった」という記憶の中では、お店の名前や詳しい場所が記憶から抜けていくのは明らかですよね。
それだけ2回目の来店というのは大切です。そしてさらにお店の印象をつけるのが3回目の来店なのです。つまり3回目までは最低限、仕組みを作る事がとても大切です。
こんな時、日替わりで超人気メニューなどがあれば、3回目の来店を促す仕組みになりますが、多くのお店は超人気日替わりメニューが7種類以上、いえ、それ以上なんて難しいですよね。
そんな時に活用できるのがさらなるプレゼントです。
2回目の来店されたお客さんに、また次回のプレゼントを用意するのです。飲み物でも食べ物でも構いません。次に来店すると魅力的なプレゼントがある。これが「また来店したい」という気持ちを起こすのです。
料理が美味しかった、接客もよかった、お店の雰囲気も悪くない、そしてもらわなくては損と思えるようなプレゼントがあって数回来店すれば、記憶に残るようになります。
この2回目~3回目の来店をスムーズにするための施策の一つとしてスタンプカードがあるのです。
スタンプカードといっても大それたものでなくて構いません。名刺サイズぐらいのちょっとしたもので十分です。大切なのは、スタンプを押す箇所は2個や3個だけにするいことです。
これにより2回目の無料サービスと3回目の無料サービスがあることが明確にわかり、お客さんの記憶に残り「行きたい」という気持ちが生まれるのです。
3回目までの来店を促す仕組みをぜひ考えてくださいね。
よりお客さんが賑わうお店にするために
飲食店でしたら、予約をしてもらう事が一番、先々の見通しが立ち経営が安定しますよね。食材の廃棄のロスも予約が有るのと無いのでは大きく違いますよね。
とするならば、予約時にはやはりプレゼントを用意することが大切です。しつこいようですが、ドリンク1杯無料ではなく、予約したくなるようなプレゼントです。
せっかく予約してくださるのです。予約時にしか提供できないもの、周囲の人が注文したくなるようなものを用意しましょう。このようにお客さんが予約するメリットを作る事で、出来るだけ予約をしたくなるような仕組みをつくるのです。
この仕組みを最大限生かしているのが超人気店の数ヶ月先まで予約でいっぱい、というお店ですね。数ヶ月先しか予約が取れないから、余計に予約をしたくなり、埋まっていくのです。
あなたのお店もぜひこのような仕組みを作りましょう。
お客さんが賑わい、リピートしてもらえるお店のまとめ
お客さんが賑わうお店にするには、あなたが日々気をつける事と仕組みを作る事が大切です。
そして何よりも大事なのは、来店していただいたお客さんひとりひとりを大切にすることです。初めてのお客さんや2回目、3回目のお客さんだけを大切にしているお店では、常連のお客さんはいなくなりますよね。
2回目のお客さんも3回目のお客さんも常連さんも「また行きたい」と思うようなお店にすることが重要ですね。